見守りサービスを導入した家庭が案外整理できていないのが、通知が届いた「その後」の動き方です。
機器やサービスを比較検討している段階では料金や機能に意識が向きがちですが、実際に「様子がおかしいかも」という通知を受け取ったとき、何から手を付ければいいのか、事前に決めていない家庭は少なくありません。
通知を受け取った直後にすべきこと
Q. 異常検知の通知が来たら、まず何をすればいいですか
最初にすべきことはシンプルで、本人へ直接電話をかけて声を聞くことです。
センサー型の「長時間の無反応」やスマートウォッチ型の「心拍数の異常」といった通知は、必ずしも深刻な事態を意味するとは限りません。
昼寝をしていた、庭仕事で機器から離れていた、といった日常的な理由であることも多いため、まずは電話で状況を確認するのが基本の流れになります。
通知を見た瞬間にすべきことは「駆けつけること」ではなく「電話をかけること」だと覚えておくと、慌てずに動けます。
電話に出て会話が成立すれば、多くの場合はその場で安心して終わります。

Q. 電話しても出ない場合、次はどうすればいいですか
1回で出なくても、すぐに深刻な事態と決めつける必要はありません。
入浴中やテレビの音で気づかないなど、電話に出られない理由はいくつも考えられるためです。
5〜10分ほど時間を空けて2〜3回かけ直しても応答がない場合は、次の行動に移る目安と考えておくとよいでしょう。
見守りカメラやスマートスピーカー連携型を使っている場合は、映像や音声で室内の様子を確認できないか試すのも有効です。
それでも応答や動きが確認できない場合は、このあとの見出しで扱う「駆けつけ」や「通報」の判断に進みます。
救急車を呼ぶかどうかの判断
Q. 救急車を呼ぶべきか迷うとき、判断の目安はありますか
意識がない、呼びかけに反応しない、激しい痛みを訴えているといった明らかな異変がある場合は、迷わず119番に連絡してください。
一方で「様子は変だが、緊急なのかどうか自分では判断がつかない」というケースも多くあります。
そうした場合は、総務省消防庁が案内している救急安心センター事業(#7119)に電話をかけると、看護師や相談員が症状を聞いたうえで救急車を呼ぶべきかどうかをその場で助言してくれます。
#7119は全国一律で使えるわけではなく、実施していない地域もあるうえ、実施している地域でも受付時間が24時間365日のところもあれば夜間・休日のみのところもあり、独自の10桁番号で運用している地域もあります。
あらかじめ親の居住地で利用できるかどうかと、あわせて受付時間帯まで確認しておくと、いざというときに迷わず使えます。

利用できない地域では、かかりつけ医や地域の医療機関の夜間・休日相談窓口が同様の役割を果たしてくれることもあります。
Q. 深夜や早朝に異変があった場合、対応は変わりますか
時間帯によって、通報や相談そのものの手段が変わることはありません。
119番は24時間365日つながります。
一方、#7119は地域によって受付時間が異なり、24時間対応の地域もあれば夜間・休日のみの地域もあるため、事前に親の居住地の実施時間まで確認しておくと確実です。
いずれにせよ、深夜や早朝だからといって119番への連絡をためらう必要はないのです。
変わるのは、家族自身が動ける範囲です。
日中であればすぐに近隣へ声をかけられても、深夜は近隣の協力を得にくく、タクシーや公共交通機関の便数も限られます。
この時間帯の弱さを補うのが、後述する「駆けつけサービス」や、あらかじめ鍵を預けておける相手の存在です。
自分がすぐに駆けつけられないとき
Q. 遠方に住んでいてすぐに駆けつけられません、代わりに動いてもらえる先はありますか
離れて暮らす家族の見守りが必要になる家庭の多くが直面する課題です。
選択肢はいくつかあり、家庭の状況に応じて組み合わせておくと安心です。
- 近隣に住む親戚・知人にあらかじめ事情を話し、いざというときに様子を見に行ってもらえるよう頼んでおく
- 警備会社が提供する緊急通報サービスの「駆けつけサービス」を契約し、スタッフに現地対応してもらう
- 地域のシルバー人材センターや自治体の生活支援サービスに、日頃から安否確認の相談をしておく
- 民間の家事代行・買い物代行サービスのスタッフが定期訪問時に異変に気づける体制を作っておく
いずれの手段も、緊急時になって初めて連絡先を探すのではなく、元気なうちに関係を作り、連絡先を控えておくことが前提になります。
合鍵を近隣の信頼できる相手に預けておく、あるいは鍵の保管ボックスを玄関先に設置しておくといった備えも、駆けつけてもらう相手がスムーズに家の中に入れるようにするための実務的な対策です。
Q. 兄弟姉妹がおらず頼れる人が近くにいない場合、どう備えればいいですか
一人っ子で頼れる兄弟姉妹がいない家庭では、駆けつけをすべて家族だけで担おうとすると、どうしても限界があります。
こうした場合は、家族以外の「駆けつけ役」を制度として確保しておく発想への切り替えが現実的です。
警備会社の駆けつけサービスは、まさに家族に代わって現地対応する役割を担うために設計されているため、一人っ子家庭ほど費用に見合う価値が出やすい選択肢といえます。
契約を検討する際は、月額料金だけで決めず、通報から現地スタッフが到着するまでの目安時間と、駆けつけ1回あたりの追加費用がかかるかどうかを問い合わせて確認しておくと、いざというときの動きがイメージしやすくなります。
あわせて、地域包括支援センターに事前に相談し、地域の見守りネットワークや民生委員とのつながりを作っておくと、家族だけでは把握しきれない日常の変化にも気づいてもらいやすくなります。
役割を分担できる相手がいない状況そのものを一人で抱え込まず、複数の制度を組み合わせて「駆けつけ役」を分散させておくことが、結果的に家族の負担を軽くします。

誤報だった場合・日頃の備え
Q. 駆けつけたら誤報だった場合、どうすればいいですか
駆けつけてみたら本人はいつも通り元気だった、というケースは珍しくありません。
まず大切なのは、本人に対して「無駄足だった」というような言い方をしないことです。
誤報が続くと、本人が「自分のせいで迷惑をかけている」と感じて、機器の利用そのものを敬遠するようになってしまうことがあります。
誤報そのものを責めるのではなく、なぜ誤検知が起きたのかをサービスのサポート窓口に伝え、感度設定や機器の設置場所を見直すことが本来の対応です。
季節による生活リズムの変化や家具の配置換えなど、誤報が起きやすいタイミングについてはよくあるトラブルと問い合わせ先の探し方でも詳しく触れています。
Q. 緊急連絡先リストには何を書いておけばいいですか、どこに置いておくべきですか
初動対応のスピードを大きく左右するのが、緊急連絡先リストの中身です。
最低限含めておきたい項目は、氏名・生年月日・血液型、持病やアレルギー、服用中の薬、かかりつけ医の連絡先、保険証や介護保険証の番号、ケアマネジャーや地域包括支援センターの連絡先、そして近隣で頼れる人の連絡先です。
スマートフォンのメモにしか残していないと、通信トラブルや充電切れの際に確認できなくなってしまいます。
紙に印刷して冷蔵庫や玄関など目につく場所に貼っておくと、駆けつけた本人以外の人(救急隊員や近隣の協力者)もすぐに状況を把握できます。

実際に、救急隊員がすぐ情報を確認できるよう、高齢者世帯に「救急医療情報キット」(冷蔵庫に情報を保管する容器)を配布している自治体もあります。
親の住む自治体で同様の取り組みがないか、一度確認してみるとよいでしょう。
まとめ:初動対応は「事前に決めておく」ことが9割
ここで紹介した対応は、実際に異変が起きた瞬間に一から考えるものではなく、平常時のうちに家族内で決めておくべきことばかりです。
緊急度ごとに「まず何をするか」を整理すると、次のような流れになります。
| 状況 | 緊急度の目安 | まず取るべき行動 |
|---|---|---|
| 異常検知の通知が届いた直後 | 低〜中(まず確認) | 本人へ電話し、応答と会話の内容を確認する |
| 電話に応答がなく、数回かけ直しても出ない | 中 | 近隣の協力者や駆けつけサービスに連絡し、現地確認を依頼する |
| 意識がない・呼びかけに反応しないなど明確な異変 | 高 | 119番に連絡する(迷わず通報) |
| 緊急かどうか自分では判断がつかない | 不明 | #7119(地域により利用可否あり)やかかりつけ医の相談窓口に連絡する |
この4つの場面ごとの動き方を家族間であらかじめ共有し、緊急連絡先リストと駆けつけ役の候補をセットで準備しておけば、実際に通知が来た瞬間の混乱はかなり小さくできます。
見守りサービスは「異変に気づく」ための道具であり、その後の初動を決めておくのは家族の役割だということを、契約したタイミングで一度家族会議のテーマにしておくとよいでしょう。
通知の受け取り方や家族間での分担については見守りサービスの通知、届きすぎても届かなすぎても続かない。ちょうどいい設定の考え方で、費用や役割分担の考え方は兄弟姉妹間で費用・管理を分担する際の考え方で、それぞれ詳しく整理しています。


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